最高裁判所第一小法廷 昭和40年(オ)252号 判決 1967年2月23日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人大畑政盛の上告理由第一点、第二点(一)について。
本件において、上告人が被上告人榊原幸男に対し請求の原因として主張するところは、要するに、上告人所有の不動産につき昭和二五年一二月六日名古屋法務局受付第二〇九〇七号をもつて、同被上告人に対し所有権移転登記がされているが、右登記は訴外榊原喜一(被上告人榊原幸男の父)の作成した偽造文書に基づくものであつて無効であるから、その抹消登記手続を求めるというのであり、被上告人大杉勉が参加の理由として主張するところは、要するに、同被上告人は被上告人榊原幸男に対する債権者として右不動産につき強制競売の申出をし、強制競売開始決定を得たのであるが、もし上告人と被上告人榊原幸男間の右訴訟において上告人請求どおりの判決があるときは、参加人の権利は害されるというのである。そして、右に述べたような上告人の本訴請求の原因、被上告人大杉勉の参加の理由に関し原審の確定した事実および本件訴訟の経過に照らせば、被上告人大杉勉をもつて民訴法七一条にいう「訴訟ノ結果ニ因リテ権利ヲ害セラルヘキコトヲ主張スル第三者」にあたるとして、その参加を是認した原審の判断は正当であるというべきである。それゆえ、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用に値しない。
同第二点(二)について。
原審の事実認定および事実に関する判断は挙示の証拠によつて肯認することができ、訴外榊原喜一と被上告人榊原幸男との間の本件不動産譲渡行為に関する原審の判断を前提とすれば、右両者間の本件不動産譲渡行為をもつて民法八二六条の「利益が相反する行為」にあたらないとした原審の判断は正当であり、その他原審の判断の過程にはなんら所論の違法はない。それゆえ、論旨は採用に値しない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 松田二郎 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)